映画の制作現場ではよく「プリプロ」という言葉が使われます。
これは「プリプロダクション」の略で、撮影に入る前の準備期間の事です。
(ちなみに「プロダクション」とは実際に撮影・録音を行う現場作業を指します)
一般的にはあまり馴染みのないプリプロダクションですが、実は良い映画を作るために非常に大事な期間。
ここではその作業内容を、各部門の具体的な動きも交えてご紹介しましょう。
1.プロデューサーを中心にチームを結成!
映画は誰かが企画をスタートさせるところから制作が始まります。
この映画制作を始める人物こそがプロデューサーです。
プロデューサーには制作会社に所属している人、フリーで活動する人等様々なタイプがありますが、企画から完成まで制作を管理するのが仕事になります。
そして、キャストや各部門のスタッフもプロデューサーによって集められ、実際に現場で映画を作っていくチームが結成されるのです。
映画の現場には監督やカメラマンはもちろんの事、照明・録音・美術など様々なポジションが存在します。
こうしたメンバーをいかに優れた人材で固め、良いチームを作れるかという点も、プリプロダクション期間におけるプロデューサーの重要な役割と言えるでしょう。
2.脚本の完成!~創造力+マネジメント力~
現場をスタートさせるためになくてはならないもの、それが脚本です。
映画における脚本とは、ただセリフが書いてあるだけの台本ではありません。
美術を作ったり録音をしたりするためにも必要となる、まさに映画の設計図であり、これを完成させるのもプリプロダクション作業の一つです。
脚本は脚本家によって書かれますが、「第一稿」を書き終わったらすぐに完成というわけではありません。
監督やプロデューサーも交えた打ち合わせにより、ただ面白いだけではなく実作業や予算も考え、問題なく撮影するための「決定稿」を作るところまでが脚本作業の流れとなります。
映画制作では常にクリエイティブな作家性(創造力)と同時に、円滑に制作を進める管理能力(マネジメント力)が必要になるのです。
3.撮影に向けて!~各部門の下準備~
脚本が完成すると、それを基に各部門の準備作業が始まります。
実際に撮影する場所を下見するのが「ロケハン(ロケーションハンティング)」です。
脚本に書かれた内容を実際に撮影できる場所を、監督やカメラマン等が各地を回って探します。
一方で家の中などの美術セットで撮影するシーンがある場合は、美術部がその設計と制作を始めます。
「絵コンテ」という脚本をマンガのようにコマ割りした設計図が作られる事もあります。
近年ではCG合成などのテクノロジーの発達に伴い、「プリビズ映像(Pre Visualization)」と呼ばれる完成形をイメージした見本映像を作るケースも増えてきました。
このように映画制作とは単に撮影だけではなく、プリプロダクション作業も含めた非常に多彩な作業の事をいいます。
そして、その工程のひとつひとつがプロのキャスト・スタッフの仕事によって支えられているのです。
専門学校で学べること・入学するメリット
各部門の動きや工程を、実際の現場の中で体験することもできますので、将来映画の現場で働きたい方は、ぜひ進学を検討してみて下さい!