Interview
俳優として活躍する坂口さんに、学生時代の思い出、役者としての仕事への取り組み方について語っていただきました。
俳優
坂口 千晴 さん
Sakaguchi Chiharu
2022年卒業
2000年、茨城県出身。
太田プロダクション所属。
2023年2月23日から公開する映画「少女は卒業しない」(中川駿監督)にて倉橋洋子役で出演。東京・新宿シネマカリテ、渋谷シネクイントほかで全国公開。舞台「リザンテラ」、TVK「この動画は再生できません」など少しずつ実績を重ねている。
趣味はサッカー観戦と読書。特技は三味線。
昔から楽器やオペラなど、その時に興味を持ったものや好きな事を好きなだけやらせてくれる両親だったので、発表会や人前で表現する事が大好きになりました。
高校生の時、それまで部活ばかりで将来のことに悩んでいた私に家族が、「不安から逃げないで自分がやりたいこと、後悔しないことを選びなさい」と言ってくれて、「役者になりたいので東京に行かせてください」と伝えました。
家族には本当に頭が上がらないです。笑
オープンキャンパスに映像演技の授業を体験した際に「お芝居って面白い!」と思いました。
何も分からず、笑顔もすごく引き攣ってたんですけど、ただただ純粋に楽しいと思えた事が1番の理由かもしれません。
そして演技未経験の私はしっかり基礎から学びたいと思ったので3年間学べるということも大きかったです。
私達は波瀾万丈の学年でした。笑
通常、1年かけて2作品の舞台を皆んなで作るのですがコロナの影響で2年次は長い間自宅待機になり1本の作品を1年かけて作りました。また、3年次の卒業公演は中止になってしまいました。
当時はただひたすらに悔しくて、怒りの矛先をどこにも向ければいいかも分からず本当に苦しかったのですが、今となっては凄い大事な経験だったんだなと思います。
制作スタッフの方や講師の先生方など多くの人達がステージを支えてくれ、家族や友人など私達のステージを楽しみに待ってくれている人がいるということを感じました。
演劇が出来ること、一つの公演を行うことの大変さ、ありがたさを強く感じ、同期と泣き腫らした目でステージから見た無人の客席、同じように悔しがっていたスタッフの方々の姿を一生忘れずにいようと思いました。
この経験は今の私の軸になっています。
ヤスヒロ先生のヴォイスアクティングは、俳優を目指す学校ではなかなか経験出来ない授業だったと思います。
声だけで表現する難しさ、アフレコ現場でのマイクの使い方、台本の読み方の違いなど初めてだらけでとても楽しかったです。
映画も勿論見ていましたが、私は特に本を沢山読んでいました。
朝井リョウさん、岡倉天心さん、さくらももこさんなどジャンルは様々です。
時間があると本屋に寄って、その日の天気や気分でフラーっと本を手に取ることが多いのですが、本は文字だけなので想像力が膨らみ、演技のヒントになったりすることもあるので読んだ本全てに影響を受けていたと思います。
とにかく何事も『早い!』と思いました。
学校はじっくりしっかりコツコツという感じでしたが、プロの現場では、撮影がものすごいスピードなので、臨機応変さや一発目に自分の最大限を持ってこれる技術が求められます。
学校で学んだ"準備"を徹底してやっています。毎日勉強の日々です。
私は朝井リョウさんの小説が好きで、学校で行われる新人発掘オーディションは朝井さんの小説の台詞で臨んだくらいファンなのですが、卒業して初めての作品が朝井さんの小説が原作の映画でした。
運とタイミングに恵まれ、元々読んでいた時から私が好きだった役に合格でき、現場で朝井さんご本人とお会い出来たときは感無量でした。
撮影ではプロの現場の空気感のなか初めてのことばかりで本当に多くのことを教えていただきました。自分にとって大切な思い入れのある作品です。
学ぶ姿勢はずっと身につけていたいです。仕事でも日常でも知識をつけることは大切だと思っていて、日常生活で自分がやった事がないことって何だろうと考えて生活しています。
自分がやったことが無いことは役として表現することは難しいので、急に山登りや資料館に行ったり、逆に寝転んだまま1日を終えたりやったことが無いことにチャレンジしています笑。
その結果、現場で「坂口さん普段からそういうことやっているでしょ?」って言われた時は嬉しいし演じやすさが増します。
日頃の知識が仕事の知識に繋がるんだなと改めて感じます。
丁寧に自分らしく楽しんで頑張ります!
楽しい!好き!この気持ちだけで十分すぎると思います。同じ目をした仲間がいて、支えてくれる人達がいます。
そしてこれから自分に影響を与えてくれる多くの人と出会えるはずです。
好きな事をやれることに感謝して、お互い全力で楽しんで前に進んでいきましょう。