テレビドラマや映画などの映像作品を作り上げるためには、俳優や監督の力だけでなく、裏方にいる人々の働きが重要になります。 その中でも今回フォーカスしていくのが、室内外のセットや撮影で使用する小道具などを管理する“美術監督”という仕事です。 花形ではないようにも思えるこの職業ですが、実は映像制作の要となる重要なポジション。 美術監督がしっかりと仕事をしなくては、現実味のあるいい映像を作ることはできません。 そんな重要な役割を担う、美術監督の仕事内容について詳しくご紹介いたします。
映像制作の影の重要人“美術監督”の仕事内容
映像作品の制作に必要なセットや小道具を検討する
テレビドラマや映画、CMなどの制作が決定したら、総監督と打ち合わせをしながらその作品に必要になるセットや小道具などを検討していきます。 脚本を確認しながらシーンを思い浮かべ、スケッチなどをしながら1つ1つ洗い出していくのです。 作品によっては巨大なセットを組む必要もあるため、デザインを作り上げることもあります。 また、美術監督はセットや小道具の制作にかかる費用のこともきちんと考慮しなければなりません。 作るだけではなく解体や処分をするにも費用がかかるので、予算の中で制作することも重要な仕事の1つです。
制作したセットの配置を決めていく
セットの制作が進み、用意した大道具などが揃ってきたら実際に配置をしていきます。 たとえば子ども部屋のセットを作る場合、勉強机やベッドなどの大型家具をはじめ、地球儀やランドセル、ゲーム機などの小道具も自然な形に配置します。 とくに人情ドラマの作品などは映像にリアルさが求められるため、実際にそこに生活があるかのようにセットを作りこまなければなりません。 屋外のセット組みも同様で、現実感をいかに演出できるかがポイントになります。 このセットの配置作業は、美術監督としての経験やセンスがとくに問われるといっても過言ではありません。
役者が使用する小道具の制作を監督する
役者が劇中で使用する小道具の制作・手配も美術監督の管轄です。大型セットの監督と比べると少々地味な仕事にも思えますが、小道具もとても大切な撮影道具です。 たとえば、ヒーローものの映画作品を作る場合、主人公のヒーローが愛用する武器は小道具にあたります。 つまり小道具の準備というのは、ストーリーの要になるアイテムを制作・手配するということなのです。 このような小道具は外部の制作会社に依頼して制作してもらうこともありますが、美術監督が自ら作ることも珍しくありません。 美術監督はセンスが大きく問われる仕事ですが、道具制作という技術も必須な職業なのです。
いくら俳優が素晴らしい演技をしても、その背景や持っている小道具が手抜きでは素晴らしい作品に見せることはできません。 美術監督は映像制作の裏方担当ながらも、実際に仕事内容を詳しく掘り下げると、とても重要な役割であることがおわかりいただけたと思います。 「将来はテレビドラマや映画など、映像に関わる仕事がしたい」という方は、ぜひ美術監督という素晴らしい職業があることも覚えておいてくださいね。